Small Leather Goods

素材へのこだわり

一言で革製品と言っても、制作するアイテムによって使う材料は異なります。様々な種類や部位を、アイテムによって使い分けることでハイクオリティな製品を生み出します。
経験を積んだ職人が適した素材を選び出すことにより、機能性や製品の美しさを最大限に引き出すことができるのが、革製品の最大の特徴であるといえます。

革の種類

牛革(イタリアンレザー)

種類による特性

牛革は銀面(ぎんめん)と呼ばれる革の表面が平たく滑らかに整っており、
皮膚の繊維組織が均一になっているため強度や耐久性を備えています。

素材の品質

イタリアンレザー(100%植物タンニンなめし、アニリン仕上げのスムース)
レザーの本場 イタリアはフィレンツェのトスカーナ産。イタリア植物タンニンなめし革協会認定の革を使用。
なめしは植物起源の天然タンニンを使って行われており、銀面(革の表面)は
型押しなどしないスムースで、アニリン(染料)仕上げ。素材の風合いを最大限活かしたレザーです。

革以外のこだわり素材(糸や金具など)

革の良さを前面に出すため、基本的には金具類の使用を極力控えるよう考慮したデザインではあるが、
ファスナーはYKK社の「EXCELLA®(エクセラ)」を使用。
高級感溢れるこのファスナーは、通常の金属製ファスナーとは違い、
エレメントの1つ1つの全面に入念に磨きをかけており、スライダーの滑りもとてもなめらか。

素材のこだわりポイント

牛革の部位の中でも、ショルダーと言われる肩部分の革を使用。コシがありながらも
しなやか。革の醍醐味でもある経年変化も楽しめ、使うほどに愛着が増していきます。

技術へのこだわり

選び抜いた素材を活かすためには、職人による技術力が欠かせません。きめ細やかな作業、仕上げを施していくことで、本当に質の高い革製品が誕生します。逆に、高級な素材を用いたとしても魅力を発揮することができる技術がなければ、素晴らしい革小物にはなりません。素材×技術があってはじめて完成する。それが高品質な革小物になります。

革の切断

革の裁断は、とても神経を使う作業です。革は天然素材のため、キズや色味の違いなどが存在します。
そういった箇所を避け、パーツ一つ一つ適切な場所を見極めながら裁断する必要があります。

縫製、ステッチ

ミシン掛けもとても神経を使う工程で、ただミシンを走らせれば良いという分けではなく、
作るもの・使用する素材・縫う場所によって、ミシンのセッティングを細かく変える必要があります。

仕上げ

ステッチの乱れ、糊汚れ等が無いか、入念に検品を行います。

その他技術

革小物を作る際、一番重要とも言えるのが「漉き」と言われる革の厚みを調整する工程です。
パーツ一つ一つを0.1mmの単位で調整し、一つに組み上げていきます。

Interview
レザーソムリエインタビュー
岸之上 紀顕

Q:レザーソムリエとはどのようなお仕事なのでしょうか?

A:レザーソムリエっていうのは、その名の通り、革の知識が非常に豊富な人を、検定試験と言いますか、認定の試験を受けて、その資格と言いますかをもらって、というところですかね。一言で言ったら、革に非常に詳しい人ってことにはなるんですけども。

Q:革に詳しいということは、どの様なことがそれに当てはまるのでしょうか?

A:なめし方の違いであったりとか、固い、柔らかいであったりとか、一言で革と言っても、様々な種類があって様々な特徴があって。で、やはりかばんであったり財布にするにあたって、革だったら何でもいいかっていう訳にはいかないんで、その辺の見極め方であったりとか、そういうなものを見る目と知識というのを身につけた人っていうのがレザーソムリエっていう風にも言えるんじゃないのかなって思いますね。

Q:今回の製品の革選びでこだわったところというのはどんなところですか?

A:それはやはり、とても良い革を使いたいっていうのがあって、やっぱり本場イタリアの革を選んで使いましたね。非常に革らしい革というか、使っていくうちにどんどんどんどん味わいが出てきて、きちんとしたメンテナンスさえしていただければ、本当に長い期間使える様な、どんどんどんどん味わいが深くなっていく様な、そういう革を選びましたね。

Q:革というのは、素材なのかなめし方なのかという、どういったところが良さの違いに現れるのでしょうか?

A:革の良さ、革らしさっていうのを一番楽しもうと思うと、植物タンニンなめしっていうなめし方で作ったレザーが非常に向いているというか、革の経年変化というのを含めましても楽しめる革かなという風に思います。特に今回選んだ革は、植物タンニン100%でなめしている革で、原皮、スキンからレザーになるのにも時間をかけて、数ヶ月かけてようやく革にできるような、そういう非常に手間隙かけて作っているっていう部分でも、非常に味わい深いのかなと思います。

Q:染色でこだわったポイントはありますか?

A:豊岡でものづくりしていると、黒とか紺とかそういう色が多いんですけれど、今回結構明るめのはっきりした色を選びました。これまでの豊岡のイメージっていうものを払拭したいっていうのもありましたし、やっぱりイタリアンレザーの良さの中に、発色、色の再現、表現の仕方に非常に優れている特徴がありますので、その辺を是非活かして商品に使っていきたいなっていう風に思いましたので、この革を選んでますね。

Q:原産国というのは決まっているのですか?

A:やっぱりイタリアンレザーというのは非常に、革の一大産地で世界でも本当にトップレベルの革を製造、生産する国ですね。やっぱりクオリティは世界トップクラスなので。日本の革が悪いというわけではないんですけど、革と触れ合っている文化の違いと言いますか、ヨーロッパ、アメリカの方が歴史は長いので、なめす技術なんかにしても向こうの方が、日本でつくる革とは一味違う味わいを出してくれているんじゃないかと思います。

Q:普段革選びで一番気を付けているところは?

A:そうですね、やっぱり長く使っていただきたいというのが作り手としてはありますので、使い続けるによって変化していく色味なんかも重視しますし、あと触った時の肌触りというか手触りというか、触れて気持ち良くなる様な、ずっと触っていたくなる様な、そういう革を選ぶことが多いですね。

Q:豊岡の技術とイタリアンレザーを組み合わせた商品の、他との差はどういうところですか?

A:やっぱりかばんの街ということで、柳行李(やなぎこうり)から派生して、どんどんどんどんかばんを作り続けてきた訳ですけども、やっぱりかばん作りに関してはかなりの歴史がありますんで、その辺の技術っていうのは、他の、他府県のかばん作りにも決して劣っていないですし、誇れるべきところが脈々と受け継がれているという風に思います。

Q:革ソムリエになろうと思ったきっかけは?

A:もともと革が好きで、やっぱりもっとこう知識を深めたいっていうのもありましたし、レザーソムリエっていう資格が非常に、人に説明するときにも分かりやすいというか、資格持ってるんだよっていうことを言えば、「あぁ、この人革について詳しい知識持っているんだな。」っていうのが一言で伝わるっていうのもあるかなと思いまして。まぁいろいろメリットを感じて受けてみました。

Q:今後革製品で作っていきたい、展開していきたいというものはありますか?

A:本当に革って、いろんな表現ができる素材なので、なめし方の違い、タンニンなめしであったりとかクロムなめしであったりとか、そういう違いもそうですし、シボの表現の仕方、色の表現の仕方っていうのも非常に多種多様なので、その辺の面白さっていうのを人に伝えられる様なものづくりっていうのを、これからもしていきたいという風に思いますね。

Q:革を通して、消費者に感じてもらいたいことはありますか?

A:革って、お手入れさえきちっとすれば、10年でも20年でも持つ、本当に素晴らしい素材だと思うんで、ものを大切にする気持ちを知っていただきたいですね。

革小物は0.5mmずれると形にならないと言われるほど、非常に精度が求められるシビアな世界です。その精度を実現するには、完成度の高い型紙の作成から始まり、材料の選定、裁断、革漉き、糊貼り、組み立て、縫製、いずれの工程においても一瞬の隙も許されません。一朝一夕では成し得ない、日々の切磋琢磨を経て身に付けた高い技術力と知識・経験があって、はじめて高品質な商品が誕生します。