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出石焼の歴史

出石焼の歴史は古く、垂仁天皇時代に天日槍命が朝鮮半島より陶工を従え但馬出石に到来し、食器類を焼いたことが始まりと言われています。
土器としての出石焼は、天明4年(1784年)に伊豆屋弥左衛門が土焼窯を開設したことが始まりと言われています。これが現在の出石焼へ直接結びつく窯業の始まりというのが通説となっております。
白磁を利用した出石焼としては、江戸時代後期に出石藩において大量の白磁の鉱脈が発見され、白磁を原料とした生産が開始されるようになったことが始まりです。この頃のものは、染付磁器を主体としており、「古出石焼」と呼ばれています。
その後、盛衰を繰り返しながら明治初期に一度衰退しますが、明治9年に伊万里焼の陶匠を指導者として招き、品質改良に成功しました。この品質改良された出石焼きを各地の博覧会に出品し全国的に名声が高まりました。明治37年にアメリカで開催された、「セントルイス万国博覧会」において金賞を受賞するなど、高非常に高い評価を得ています。この頃の作品は、焼き物とは思えないほど精巧な細工が施されており見る人を魅了しましたが、美術品に偏り、高価で販売上困難な物が多く、実用的ではないものが多く作られていました。
その後、昭和55年3月には国の伝統工芸品として指定されました。現在の出石焼の製品は、観光者向けの土産品や、贈答品、美術工芸品が主流となっています。出石焼の特徴である純白の器は日常の食器としてもふさわしく、同じく出石の名産品である出石そばを出すお店でも多く使われております。

出石焼の特徴

国内でも珍しい白磁を中心とした焼き物で、他の白磁器のような青みがかかった白や、温かみが感じられるような白とは違い、冷たさが感じられるような白と言われており、「透き通るような」や「白すぎる白」とも表現されるほどの圧倒的な純白さが最大の特徴と言えます。また、素焼き前に熟練職人の手によって彫り込まれた彫刻の繊細さや、純白の出石焼に繊細で落ち着いた色調によって行われる絵付も、非常に高い評価を受けています。
圧倒的な純白、透明感の高さ、繊細で美しい彫刻や絵付から、非常に上品で清楚と感じさせる焼き物と言われています。
Interview
出⽯焼陶⼯インタビュー
⼭本 和則
〈陶工〉 山本和則
祖父が京都清水で活躍した名工であり、祖母は日本六古窯としてしられる瀬戸の出身という、出石焼の陶工山本和則。生まれ育った近所の山から取れる白粘土を用いて、ロクロを回し芸術品を創り上げる。出石焼だけではなく京都の清水焼の技術も習得し、白磁の出石焼を彼の技術と知恵で一段上にひきあげている。

Q:出石焼についてレクチャーをお願い致します。

A:陶磁器、焼き物の中では陶器と磁器というものがありまして、一般的には陶器というのが土ものになります。私ども出石焼は磁器になります。磁器というのは、陶石という石を原料にして作ります。

Q:出石に原料となる石が出ていた、いうことが元々の発端なのですか?

A:そうです、私どものアトリエより少し入ったところに鉱山があります。

Q:出石焼の歴史について教えていただけますか?

A:全国どこでもあった、藩窯(はんよう)というんですけどね、それぞれの藩に窯がありまして、もちろん出石にもあったわけで。そこでは土、先ほど言いました陶器、土ものを作っていたわけですけども、どうしても磁器を生産したいということになりまして、有田の方から職人を呼んできて作り始めたわけですが、なかなか鉱脈が見つからず、一度職人を帰す様なかたちになったんですけど、それでも探し続けて、やっとの思いで出石から鉱脈が発見されまして、新たにまた有田の方から職人を呼んできて、磁器の生産を始めたというのが始まりと聞いております。その後明治のはじめに、パリ万博ですとかね、超絶明治の時代というのがありまして、国策でいろんな物を万博に出すわけですが、出石焼もそれに乗り、巧妙な細工物を出展して、高く評価を受けたということが、出石焼の発展につながったという風に思います。

Q:出石焼を焼く上で、一番難しいポイントは?

A:一般的な作り方の話にはなるんですけど、陶器というのは、土ものは、いわゆる偶然的な美だとか、ゆがみの美だとか、釉薬の美だとかいろいろあるわけですが、磁器になりますと、完成美の美ということに求められることが多くて、なるべくきれいなもの、薄いもの、完成された形を形のみで表現していくということに気を使って作業を進めております。

Q:色は、白か青ということに理由はあるのでしょうか?

A:磁器はもともと、これはわざわざ白くしているのではなくて、もともと石の白さでありまして、それにあうのは反対して呉須という、古来からある顔料なんですけど、呉須が一番あうのではないかという風に考えております。

Q:今回この4Uの企画をするにあたって、どのような製品を作っていこうと思われますか?

A:出石焼は、国が指定する伝統工芸品に設定されているわけですが、私が考えます伝統というのは、そもそも伝承と伝統という2つのものがあると思っております。伝承というのは、技を引き継ぐ、先人達がやってきたことを引き継ぐ作業だと思っております。一方、伝統というのは、その場、その時代時代に活かされたものが、いかに自分の考え、自分の感性を持って、それに先人達がやってきたことに乗せていくっていうことが伝統、それが広がっていく伝統だと考えております。ですから今回、ウノフクさんからこの様なジョイントの話を、コラボの話をいただきまして、私も一つのチャンスと捉えて取り組む様にしております。

Q:製品を通して、消費者の皆さんへ伝えたいことはありますか?

A:磁器の産地というのは、日本ではそんなに多くないんです。ほぼほぼ、産地としては土もの、陶器が多いわけです。ですがその中でも、やはり全国的な知名度ということになりますと、まだまだ出石焼を知らない方もたくさんおられると思います。九谷焼だとか有田焼だとかは知っておられても、なかなか出石焼までっていうことになろうかとも思いますので、一人でも多くの方に、兵庫、出石、出石焼があるということを知っていただければ幸いに思います。

Q:出石焼はいろんな形を作っておられるんですけど、例えば急須などはどの様に作られるのでしょうか?

A:急須の場合は型を利用しております。しかし、この急須を取りましても、例えば蓋に関しましても、こちらの方(土台の方)と手の方を別々に作りましてひっ付けるわけです。こちらの方(胴体側)も、この取手をつける部分、そして注ぎ口の部分、これは胴体とは別々に作ってつけるわけです。ですからこの形(急須)にしたら4つの部品を付けるわけですが、作業が増えれば増えるほど傷が出やすくなりますので、その点非常に、付けるタイミングだとか固さだとかということに、非常に神経を使って制作しております。

Q:出石焼の1番のポイントとなると、どこになりますか?

A:やはり、磁器の生産地が先ほどあると言いましたが、かなりの装飾された部分があると思いますが、出石はあくまでも「白すぎる白」にこだわって制作しております。